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プレカットと手刻みの違い

2024年09月04日

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こんにちは、京都の長岡京市で

自然素材と高気密高断熱の家を建てている

能見工務店の能見です。よろしくお願いします。





 
情報過多の中、様々な情報が溢れかえって

います。発信される情報というのは、

なにかしら配信者の思惑が入って発信されます。





 
今日は、次の現場の骨組みをつくり出すので

【プレカットと手刻みの違い】

について書きたいと思います。





 
プレカットと手刻みの意味が分かりますか?

簡単に言えば骨組みを工場でつくるのか

手づくりで大工さんがつくるのかの違いです。

プレカットは家の骨組みの図面を専用ソフトに

入力すると工場の中の機械が流れ作業で柱や梁を

全部作ってくれます。複雑な骨組みは、加工が

できない物もあるようでプレカット工場に在中

している大工さんが加工をします。手刻みは機械

道具は使いますが大工が加工するので職人の技術

力にとても左右されます。それぞれにメリットと

デメリットがあるので、誰にとってのメリットで

誰にとってのデメリットか考えてみて下さい。





 
木造で家を建てるには、柱や梁などの骨組みが

必要です。骨組みをつくることを“刻み”と言い

例えば、柱にするのであれば木に差して立てれる

ように加工したり、梁と桁を組み合せたり長さを

足すのに繋ぐ加工をする必要があります。

そして、加工方法を指示するのに木に様々な印を

することを“墨付け”といいます。この墨付けを

する人が棟梁になります。豆知識ですが米国の

大統領という言葉は大工の棟梁が由来です。





 
20年程前までは大工が作業場で墨付けして加工

する手刻みが通常でしたが、時代が変わりプレ

カットが普及しました。現在では、9割以上の

建築会社がこれを利用して新築を建てています。






大工が作る骨組みには、田舎建ての家や社寺の

ような建築と一般的な木造住宅の大きく2種類

あって、前回のブログで書きましたが柔らかい

骨組みと固い骨組みいわば免震構造と耐震構造が

あります。今回は一般的な住宅の骨組みについて

書きます。まず大工がつくる骨組みのメリットは

カチッとした揺れない骨組みが出来ます。地震の

力を逃がす複雑な組み方で大空間を確保すること

が出来るのですが、はっきり言ってこれだけです。

デメリットは、大工によって施工精度にばらつき

があるので欠陥住宅の原因になることある。

施工者目線のデメリットは、工期が2~3か月

長くなる。加工する場所が必要。技術のある職人

が必要。電気代、ゴミの処分費用がかかる。

プレカットより大工の人件費コストがかかる。






プレカットがつくる骨組みの一番大きなメリット

は施工精度のばらつきが無くなったということ。

コンピューターで管理されているので寸法は

とても正確。施工者目線のメリットは工期短縮

組立てが楽で昼までに屋根まで組みあがる。

コストダウン。職人技術が必要ない。次世代の

大工育成が必要ない。加工場がいらない。加工に

よる廃材が出ない。デメリットは、組み立てが

楽な分良く揺れる。職人が育たない。

という感じで、メリットとデメリットを比べると

大工がつくる骨組みよりプレカットの方が施工者

のメリットがとても多いのが分かると思います。

これがプレカットの普及した理由です。






では、弊社がいまだに自社で骨組みをつくる

理由を少しだけ説明させて頂きたいと思います。

先ほども言いましたが、大工のつくる骨組みは

カチッとした揺れない骨組みでプレカットは

組立てが楽と言いました。組立が楽な分、家は

よく揺れます。骨組みは組んでいく時にカケヤと

いう大きな木槌で叩いて組むのですが、適度に硬

く締まる骨組みにすることで揺れなくなります。

プレカットも仕口を硬く調整できるのですが、

硬くすると現場が早く進まないのでほとんどの

業者は柔らかくしています。もし仕口を硬くして

いる業者がいればとても良心的な業者です。

耐震構造なので、勿論最終的には金物で補強を

していくので揺れなくなります。ただ、金物は

取り付けた時が一番強くて、だんだん強度が落ち

ていきます。それを考えるとやっぱり「揺れない

骨組みをつくった上で、金物で補強するべき」と

いう考えでいまだに自社つくっています。費用は

150万から200万ほど掛りますが、それでも

骨組みは交換できない長く住む家という観点で

考えれば決して高くないんじゃないでしょうか。





 
将来的には無くなってしまうのかもしれませんが

プレカットが普及する中、まだ手刻みをしている

工務店や住宅会社はあります。刻みとプレカット

の違いを知った上で、是非自分たちの家を建てる

工務店や住宅会社を選んで欲しいなと思います。





  
結論:長生きする人は骨が丈夫なのと同じで

家も骨組みを丈夫にすると長持ちします。

金物で補強しなくても丈夫な家をさらに金物で

補強する。それが理想の耐震構造の家です!!





 
将来的には無くなってしまうのかもしれませんが

プレカットが普及する中、まだ手刻みをしている

工務店や住宅会社はあります。刻みとプレカット

の違いを知った上で、是非自分たちの家を建てる

工務店や住宅会社を選んで欲しいなと思います。





 
しっかり家を建てて貰う建築会社さんに

アドバイスをもらいながら進めて

後悔しない家づくりを実現して下さい。

この情報が皆様の役に立てば幸いです。





 
次回は、

【上棟式をやる意味】

について書きたいと思います。





 
長い文章を最後まで読んで頂き

ありがとうございました。

今年も残り119日。頑張っていきましょう。





  
YouTubeでも様々な情報を配信もしていますので

そちらも機会があればご覧ください。




  
手刻みで建てる木組みの家
株式会社能見工務店
    能見太郎