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建築中の雨
2024年05月22日
こんにちは、京都の長岡京市で
自然素材と高気密高断熱の家を建てている
能見工務店の能見です。よろしくお願いします。
情報過多の中、様々な情報が溢れかえって
います。発信される情報というのは、
なにかしら配信者の思惑が入って発信されます。
今年は、いつもより雨が良く降っているような
気がします。昨日、沖縄方面はいよいよ梅雨入り
したみたいですね。そして、後一か月もすると
京都は梅雨に入ります。うちの母親が、雨の日に
家にいて雨音を聞くのが好きと言うてたのを
思い出しますが、私は雨が嫌いです。新築工事を
する時に雨に気を付けなければならない時が
4回ありやきもきするのが嫌なのです。
今日は、その新築工事中のやきもきする
【建築中の雨】
について書きたいと思います。
雨に気を付けなければならない時が
4回あると言いました。
①基礎工事のベース生コンを打つ時
②基礎工事の立ち上がり生コンを打つ時
③土台引きから上棟後の屋根伏せまでの間
④外構工事のガレージ土間生コンを打つ時
4回あるうちの3回はコンクリート打設時です。
①②④のコンクリートの打設時は特に雨を
注意しなければなりません。コンクリートを
流し込んでいる時に強い雨が降るとコンクリート
の水分量が変わり強度が弱くなります。
また、打設してすぐに雨に打たれるとセメントの
表面が食品例えるとアクのようなものが表面に
浮き上がってきます。これを「レイタンス」と
言ったり、我々は「コンクリートが風邪を引く」
という表現をします。どういう状態かというと、
コンクリート打設中や直後に雨に打たれ、レイタ
ンスは表面に蓄積して脆弱層が出来てしまいます。
コンクリ―の表面がモロモロで、足でこすったり
ほうきで履いたりするとセメントの粉が
いつまでもポロポロ出てくる状態になります。
そういう状態でも、そのまま基礎を完成させて
建物を引き渡ししている現場を沢山みます。
ある意味、建築業界の闇なのかもしれません。
また、YouTubeの動画をアップしますが、
一度だけ弊社の現場でもコンクリート打設中に
強い雨に打たれて、基礎を一度解体してやり
直したことがあります。最近は天気予報が
良く的中するようになってきましたが、たまに
予報に反して雨が降る場合などは困った物です。
この対処法としては、事前に雨が降りそうな
場合は工期を伸ばすことだと思います。但し、
予想に通りに行かない場合もあります。
打設中に雨が降ってくると、途中でやめることも
出来ないしどうしようもなくなるのですが
打設後に雨に打たれた場合であれば、表面だけを
機械で削って“雨打たれ補修”をすれば解体まで
しなくても問題ないと思います。
③の土台引きから上棟後の屋根伏せまでの間
というのは、せっかく乾燥させた木を使うのに
出来るだけ濡らさない方が良いということです。
たまに、「雨に濡れて腐らないですか?」って
質問を受けますが、冷静に考えて下さい。
木は雨ざらしで生えていて、沢山の水を吸って
成長してきました。
だから、少し濡れただけでは腐りません!!
一度、乾燥させた木は雨に濡れても、表面が
塗れるだけで木の芯まで水分でボトボトに
なるようなことは無いのでご安心ください。
但し、常に濡れていると木材腐朽菌やシロアリ
などによって腐食する可能性は高くなります。
常に濡れていなければ何の問題もないですが、
建築会社によっては、雨と分かっていても
工期の関係かわかりませんが、土砂降りの中
骨組みを組むのを見ることがあります。
一体誰のための家づくりなんでしょうね。
そんな景色を見ると
天気の良い日に延期したらいいのに
って思ってしまうのは私だけでしょうか。
そして、何より気になるのが土台を引いて
屋根も何も出来ていないのに床の断熱材を入れて
床を張ってしまう業者さん。
シートを張っていますが床下に雨が全く入らない
わけではない上、基礎も完全に乾いていない状態で
床を早々と塞いでしまう業者さん。
水に濡れることはさほど問題ではありませんが、
木は湿気に弱いし、家は湿気っていない状態で
つくるのが基本だと思います。
ちなみにうちは、外壁の壁下地ができて雨が
入らない状態になってからでないと床の断熱材を
入れて床下地を張ることは絶対にしません。
なぜこのような施工方法が横行するのか。
邪推ですが、
土台を引いて柱も何もない状態の方が、
施工がしやすいということと
床がある方が、足場が良く作業性があがるという
施工者目線だと思います。
もちろん足場が良いと安全性は上がりますが
一階なの無くても問題はないと思います。
何度も言いますが、私は基礎が良く乾いて水が
入らない状態になってから、断熱材を入れて
床下地をする方が良いと思っています。
これから家を建てようとお考えに皆様は
どのように思われますか?
施工者目線のついでに、
前段で書いたコンクリートの話も補足すると
生コンは事前(4日~1週間前)に業者に
発注する必要があって、前日に明日が雨だからと
キャンセルするとキャンセル料が必要になります。
勿論、当日が雨でキャンセルしても。
業者からすると前日の急なキャンセルなので
費用を貰うのは当たり前なのですが
では、
そのキャンセル料は誰が負担するのでしょうか。
建築主?元受け?施工業者?
そういうことが原因で、無理に施工をしている
業者さんは少なからずいると思います。また
一回生コンの施工日をずらすと工程通りに工事が
進まなくなってしまうというプレッシャーも
あると思います。
ちなみにうちは、昔の苦い思いから基礎屋さんに
雨でダメそうなら
「工期が伸びてもいい。費用がかかってもいい」
と伝えています。
結論:雨で大丈夫な時とダメな時を見極めよ!!
雨のせいで重大な影響が出る時は、
工程や引き渡しがズレる時や費用がかかる時でも
理解して家づくりを進めましょう。
家は、住み手と造り手によってどのような
家になるかが決まることを忘れないでください。
建築中の雨の注意点!!
・基礎のコンクリート打設は費用がかかっても
雨の予報の時は延期しよう!!
・骨組みは雨に濡れても問題ないが出来る限り
濡れないように養生をしてもらおう!!
・床下の基礎は乾くまでは湿気を沢山含んでいる
ので床は出来るだけ後に張って貰おう!!
・床下の断熱材は、雨が入らなくなってから
施工して貰おう!!
以上のことに注意をしながらいい家を
つくってください。工事の進め方を見ると
その会社が誰のために家づくりをしているか
見えてくるので要チェックですね。
しっかり家を建てて貰う建築会社さんに
アドバイスをもらいながら進めて
後悔しない家づくりを実現して下さい。
この情報が皆様の役に立てば幸いです。
次回は
【デザインだけで建築会社を選んだらダメな理由】
について書きたいと思います。
長い文章を最後まで読んで頂き
ありがとうございました。
今年も残り222日。頑張っていきましょう。
YouTubeでも様々な情報を配信もしていますので
そちらも機会があればご覧ください。
手刻みで建てる木組みの家
株式会社能見工務店
能見太郎