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外壁ができるまで1階の床下地をしない理由

2024年09月24日

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こんにちは、京都の長岡京市で

自然素材と高気密高断熱の家を建てている

能見工務店の能見です。よろしくお願いします。





 
情報過多の中、様々な情報が溢れかえって

います。発信される情報というのは、

なにかしら配信者の思惑が入って発信されます。





 
現在建築中の現場の話です。

棟上げから約1か月経ち壁下地と防水係の仕事が

終わり完全に家の中に雨が入らない状態に

なりました。弊社は、ここから一階の床の下地を

張っていきます。棟上げや屋根ができるまでに

1階の床に断熱材を入れて床下地を張る現場を

よく目にします。見ると本当にそれでいいの?

という疑問がいつも私の頭によぎります。





 
今日は、

【外壁ができるまで1階の床下地をしない理由】

について詳しく書きたいと思います。





 
屋根ができるまでに床の下地を張ってしまうと

雨が降って床下に入る恐れがあります。すぐに

乾くから大丈夫という方がいらっしゃいます。




 
シートを張って入らないようにするから大丈夫と

いう方もいらっしゃいます。




 
床下地を張らなければ足元が悪くて危ないという

方もいらっしゃいます。


 

柱が建つ前に床下地をする方が仕事の能率が

上がりやりやすいという方がいらっしゃいます。




 
確かにどれもそうかもしれません。でも、一体

誰のために新築を建てているのでしょうか。

それをすることが誰のためになるのかという

ことが一番重要な事だと私は思います。





 
床下地を張ってから雨が床下に入ったり断熱材が

濡れたりした場合、なかなか乾きません。もし

雨の水が全く入らなかったとします。でも、基礎

コンクリートから水分が約2年間水蒸気として

蒸発し続けます(日本建築業界の論文より)。

早く床を塞ぐと床下が湿気ます。安全性や施工性

のみを考慮して家を建ててもいいのでしょうか。





 
基本的にコンクリートはセメントと水で構成され

ています。そして案外知られていないのがコンク

リートは乾燥して固まるのでなく水と化学反応を

起こし固まります。その反応を水和反応といい

ます。そしてコンクリートは打設して約一か月

経つと80%位の強度になりますが、そこから

徐々に強度を増していきます。ただ、打設後の

コンクリートが乾燥状態にあると強度が出ずに

表面にひび割れが起こるためあえて水をまいたり

シートをかけたりして一定の湿度を保たせながら

乾燥させていきます。基礎コンクリートの

見た目は乾いているように見えますが、完全に

乾くまで時間がかかり新築からおよそ2年間、

基礎コンクリートから水分が水蒸気として蒸散し

続けます。特に1年目は基礎から湿気が多く放出

されるので出来るだけ床を張るまでにしっかり

乾かしたいですよね。新築時の30坪の家で

一日辺り約9ℓ、そこから徐々に蒸発量は少なく

なって床下が完全に乾燥仕切るまで約2tの

水分が蒸発するのです。





 
以上のことから、ビルダーや建築会社も基礎が

終わってからなるべく基礎を乾かしたいとは

思いつつもなかなかタイトなスケジュールや

工期の中、出来ていないのが現状なのでは

ないでしょうか。これから特に気密性の良い家が

増えていく中で、乾燥させる所はさせないと

床下の見えない部分がカビてしまう可能性が

あるので要注意です。





   
結論:誰のために家を建てるのか?!

その施工方法は、施主様のためになるのか?!

これから家を建てる人は、建築会社を選ぶ時に

そういう部分も是非比較して欲しいと思います。

私は完全に雨が入らなくなる状況になるまでは

Fの床は塞ぐべきではない!!

そう考えています。





 
しっかり家を建てて貰う建築会社さんに

アドバイスをもらいながら進めて

後悔しない家づくりを実現して下さい。

この情報が皆様の役に立てば幸いです。





 
次回は

【自然災害と火災保険の話】

について書きたいと思います。





 
長い文章を最後まで読んで頂き

ありがとうございました。

今年も残り98日。100日切っちゃいました。




  
YouTubeでも様々な情報を配信もしていますので

そちらも機会があればご覧ください。


  
手刻みで建てる木組みの家
株式会社能見工務店
    能見太郎