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自然乾燥の木と人工乾燥の木

2024年09月18日

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こんにちは、京都の長岡京市で

自然素材と高気密高断熱の家を建てている

能見工務店の能見です。よろしくお願いします。





 
情報過多の中、様々な情報が溢れかえって

います。発信される情報というのは、

なにかしら配信者の思惑が入って発信されます。





 
まだまだ暑いですが、暦では9月で秋になり

ました。実は、秋から大体1月までが木を切る

最高に良い時期といわれています。木こりさんは

木を切ってからすぐに運ばず葉を付けたまま山で

乾燥させ(葉枯らし)雪が無くなって来る春先に

山から出してきました。それを材木屋さんが買い

大きめに製材してまた2~3年寝かして乾燥させ

使うサイズに再度加工して商品として売られて

来ました。昨今、流通が変わり材木屋さんが木を

乾かさなくなってきました。乾いた木が欲しい

私は材木屋さん迷子になりました。




 
今日は、

【自然乾燥の木と人工乾燥の木】

について書きたいと思います。





 
木は乾燥させて使う必要があります。出来る限り

含水率を下げてやる方が木の痩せや狂いは少なく

なり、家を建ててからの狂いが少なくなります。

木に含まれている水の比率を含水率という言い方

をします。含水率30%以下になると安定した

強度を発揮します。切りたての木には、水分が

たくさん含まれていて時間とともに水分が抜けて

だんだん乾燥していきます。水分が抜けていくと

木の大きさがひどい時は1cm以上も小さくなる

のです。これを“木が痩せる”と表現します。なぜ

乾燥させた木を使う必要があるのかというと

・家の骨組みに乾燥させていない木を使うと栓や

ボルトなどで柱と梁を固定していても木が痩せて

隙間が空いて骨組みがゆるゆるになる

・隙間なくフローリングを貼っていても、木が

痩せて継ぎ目に大きくスキマがあく





 
こういう現象が起こります。なので一般的には

含水率20%以下の物が普及しています。その

普及している材木はどのような方法で乾燥されて

いるかというと9割はKD材と言われる人工的に

乾燥されている材料になります。自然に乾かした

木材はAD材と呼ばれています。





 
人工乾燥には高温乾燥と言われる100-130℃迄

室温を上昇させて木材の細胞を破壊させて水分を

抜く方法と45度前後の室温で低温除湿乾燥という

方法とバイオ乾燥という室温35度前後で乾燥させ

る方法などがあります。乾燥の精度に関しては

高温乾燥が良く、1週間ほどできちんと含水率を

下げることができますが、低温乾燥は1-2週間で

乾燥できるとは言いますが、含水率にばらつきが

あり完全に乾燥しているとは言い難いのを経験し

ています。低温乾燥でも3か月~半年は期間が

必要だと思います。人工乾燥でも高温で乾燥

させると早く手に入るうえに歪みや割れが少なく

痩せないので隙間ができにくいというメリットが

あります。但し、木の油が抜けて木の強度が無く

なったり、木肌の色が失われたりしてくすんだ

木になります。建築の構造計算では木の強度が

出ないですが、大工の経験上あきらかに違う

んです。その反面、低温で乾燥させたものは

まだ自然乾燥に近く、木の油分もあり木肌も

くすむことはありませんが歪みや割れが発生

しやすいデメリットがあります。





 
人工乾燥とは別に冒頭でも書きましたが強制的に

乾燥させない自然乾燥があります。自然乾燥の

場合は乾燥して使えるまでに早くても3年の

期間が必要になります。良材になるとはいえ

現実的に考えると常に木を乾燥させるサイクルを

つくならいと中々難しい方法になります。





 
結論:木は乾燥のさせ方で死んでしまいます。

出来れば低温乾燥やAD材を使うのが理想!!

KD材でも雨や水に濡れなければ100年持ちます。

但し、地震などの大きな力が加わると折れて

しまう。そこを分かったうえで選びましょう。





 
木を乾かすのが本来の材木屋さんの仕事でした。

今はどこの材木屋さんを見ても運ぶのが仕事に

なっているんじゃないでしょうか。

最近、高温の煙で木を乾かす材木屋さんと出会い

ました。試しに何回か使いました。KD材並みに

乾燥しているのに木が死んでいないし、油分も

残っていてしなりのある木材なんです。どれが

良い悪いとは言いませんがそれぞれのメリット

デメリットをしっかり把握した上で選んで頂き

たいですし、それをきちんと説明して提案して

くれる建築会社に相談したいものですね。





  
しっかり家を建てて貰う建築会社さんに

アドバイスをもらいながら進めて

後悔しない家づくりを実現して下さい。

この情報が皆様の役に立てば幸いです。





 
次回は

【外壁ができるまで1階の床下地をしない理由】

について書きたいと思います。





 
長い文章を最後まで読んで頂き

ありがとうございました。

今年も残り105日。頑張っていきましょう。





  
YouTubeでも様々な情報を配信もしていますので

そちらも機会があればご覧ください。





  
手刻みで建てる木組みの家
株式会社能見工務店
    能見太郎